ハ憲法
「泰 佑 共 和 国 第 二 憲 法 」
上奏:泰永5年5月1日(火)
親署:泰永5年5月1日(火)
公布:泰永5年5月1日(火)
改正:泰永5年8月29日(水)
施行:泰永5年9月1日(土)
親署:泰永5年5月1日(火)
公布:泰永5年5月1日(火)
改正:泰永5年8月29日(水)
施行:泰永5年9月1日(土)
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告文
裔泰佑謹ミテ王朕カ祖
鈴木齋兵衞亦
宗ノ神霛ニ誥ケ白サク伏シテ惟ミルニ王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗弌𦤶シ門ヲ乨メサセ給ヒ茊ニ壹拾漆代ヲ數ヘ其ノ閒榮ヲ極メ悳ヲ保チ仁ヲ重セルノ誠畏レ多キ叓ナリ而シテ怪偉亦奇偉亦秀偉亦雄偉ノ血胤ヲ繼承セル裔泰佑王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗ニ御奉吿申サム王朕レ囶ヲ肈メ早漆箇秊カ經旹シ此ノ閒王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗亦王朕カ赤子ノ慶福旹旹刻刻無盡藏ニ增進セリ然レトモ輓近大典カ瑕瑾ノ發現止マル所ヲ知ラス加之其ノ瑕瑾ニ因リテ政カ𢔎生顯ハナリケリ延イテ王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗亦王朕カ赤子ノ困窘極マリケリ王朕レ其レヲ㪅改スヘク茊ニ新タナル大典泰佑共和国第二憲法ヲ公布セシムル故王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗ニ其ノ儀ニ就キテ謹ミ畏ミ御奉吿𦤶シ侍リケリ王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗亦王朕カ赤子及ヒ王朕レ能ク之ニ遵フ故王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗㠯後モ天地ノ囶ヲ知ロシ𠊊シ天壤無竆ノ泰佑共和国ヲ冥護シ佑ヲ天與シ泰ヲ賦與サレサセ給ヘ然スレハ王朕レ欣歖ノ念ニ堪ヘス王朕カ
祖
鈴木齋兵衞亦
宗萬亗萬亗萬萬亗
聖 上 御 花 押
上諭(泰永五年五月一日)
朕ハ即今ノ政ヲ更改セントシ朕亦国ニ能ク奉公シ能ク尽忠セル爾国民ノ赤誠ニ深キ感銘ヲ受ク
泰永二年十二月十日朕ガ公布セル泰佑共和国憲法ハ国家ノ大典トシテノ役儀ヲ泰佑帝國憲法ニ代ワリ務ムルモ輓近ハ其ノ不備甚ダ明ラカトナリ政ガ隘路ト成リニケリ
朕ハ之ヲ誠悲シク思イ枢密院ニ泰佑共和国憲法ノ改正ニ就イテ諮詢セル所改正ヲ要ストノ答申ヲ得ルニ至レリ
以テ泰佑共和国憲法改正案ハ政事議会ニ附議サレ過日ニ行ワルル国民投票ニ於イテ其ノ信ヲ得タリ
朕ハ之ヲ思エバ欣快ノ念ニ堪エズ
故ニ朕ハ茲ニ泰佑共和国憲法改正案ヲ裁可シ新憲法タル泰佑共和国第二憲法ヲ公布セシムル
朕ハ爾国民ガ此ノ大典ヲ清心ヲ以テ運用シ国家ノ更ナル発展亦世界ノ恒久ノ平和ニ寄与スル事ヲ要望ス
前途洋々泰佑共和国ハ未来永劫栄エン
御 名 御 璽
泰永五年五月一日
内閣総理大臣 | 正爵 | (芳名) |
内大臣 | 正爵 | (芳名) |
刑部大臣 | 希爵 | (芳名) |
外務大臣 | 希爵 | (芳名) |
大蔵大臣 | 希爵 | (芳名) |
文部大臣 | 宇爵 | (芳名) |
護民大臣 | 仁爵 | (芳名) |
民政大臣 | 宇爵 | (芳名) |
食糧大臣 | 殿爵 | (芳名) |
商工大臣 | 仁爵 | (芳名) |
逓信大臣 | 希爵 | (芳名) |
建設大臣 | 希爵 | (芳名) |
環境大臣 | 殿爵 | (芳名) |
軍務大臣 | 宇爵 | (芳名) |
上院議長 | 正爵 | (芳名) |
下院議長 | 殿爵 | (芳名) |
政安院長 | 宇爵 | (芳名) |
国民最高裁判所長官 | 仁爵 | (芳名) |
枢密院議長 | 宇爵 | (芳名) |
元老院長 | 仁爵 | (芳名) |
内閣官房長官 | 殿爵 | (芳名) |
特命国務大臣 | 殿爵 | (芳名) |
特命国務大臣 | 希爵 | (芳名) |
特命国務大臣 | 希爵 | (芳名) |
特命国務大臣 | 希爵 | (芳名) |
内閣書記官長 | 仁爵 | (芳名) |
上諭(泰永五年八月二十九日)
朕ハ先般公布セル泰佑共和国第二憲法ヲ急速ニ進ム世界情勢ノ変化ニ対応サセルベク之ヲ改正スル事ニ対シ喜悦ス朕ハ政事議会ヨリ発議サレ国民投票ニ依ッテ其ノ信ヲ得亦枢密院ノ諮詢ヲ経タル泰佑共和国第二憲法改正案ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシムル
朕ハ爾国民ガ此ノ改正サレシ大典ヲ以テ国ノ内外ヲ潤サン事ヲ祈念ス
御 名 御 璽
泰永五年八月二十九日
目次
告文 | |||
上諭(泰永五年五月一日) | |||
上諭(泰永五年八月二十九日) | |||
目次 | |||
前文 | |||
憲法典 | |||
第一章 | 国礎 | 第一条‐第八条 | |
第二章 | 国王 | 第九条‐第二十条 | |
第三章 | 国民の権利 | 第二十一条‐第七十一条 | |
第四章 | 国民の義務 | 第七十二条‐第七十七条 | |
第五章 | 栄典 | 第七十八条‐第八十六条 | |
第六章 | 政事議会 | 第八十七条‐第百二十四条 | |
第七章 | 内閣 | 第百二十五条‐第百三十九条 | |
第八章 | 司法裁判所 | 第百四十条‐第百五十一条 | |
第九章 | 憲法裁判所 | 第百五十二条‐第百六十三条 | |
第十章 | 財政 | 第百六十四条‐第百七十五条 | |
第十一章 | 軍政 | 第百七十六条‐第百八十四条 | |
第十二章 | 地方自治 | 第百八十五条‐第百九十三条 | |
第十三章 | 監査院 | 第百九十四条‐第二百一条 | |
第十四章 | 枢密院 | 第二百二条‐第二百六条 | |
第十五章 | 元老院 | 第二百七条‐第二百十二条 | |
第十六章 | 丞相匡府 | 第二百十三条‐第二百十九条 | |
第十七章 | 条約及び国際協定 | 第二百二十条‐第二百二十五条 | |
第十八章 | 改正 | 第二百二十六条‐第二百三十二条 | |
第十九章 | 最高法規 | 第二百三十三条‐第二百三十四条 | |
附則(泰永五年五月一日) | 第一号‐第五号 | ||
附則(泰永五年八月二十九日) | 第一号‐第二号 |
前文
我ら泰佑共和国民は、我らが国王と先祖に対し、深い敬愛の念をもってここに申し伝える。我らは、祖国と世界の繁栄がため、この憲法を誠実に履行することを高らかに誓う。我ら泰佑共和国民は、我らが子とその子孫に対し、深い親愛の念をもってここに申し伝える。この憲法は、我らが肇国のときより抱く共同和合の精神を重んじ、祖国を愛し、憂いて制定したものである。どうかこの憲法をよく守り、正しく未来に伝え、祖国と世界の繁栄に努めてもらいたい。
我ら泰佑共和国民は、この憲法に基づき国王を戴き、祖国の弥栄を祈念し、またその実現に向けて尽力せんと高らかに宣する。
これをもって前文となし、次のとおりに泰佑共和国第二憲法を確定する。
第一章 国礎
第一条【国号】
国号は、泰佑共和国とする。なお、国号に関する詳細は、別途、法律にて定めるものとする。
第二条【主権】
泰佑共和国の主権は、国王に存する。但し、この主権は、国民の総意に基づいて行使しなければならない。
第三条【国旗】
泰佑共和国の国旗は、君教旗とする。なお、この制式は、別途、法律にて定めるものとする。
第四条【国歌】
泰佑共和国の国歌は、祖国の弥栄をとする。なお、この楽曲及び歌詞は、別途、法律にて定めるものとする。
第五条【国章】
泰佑共和国の国章は、君心拝命図とする。なお、この制式は、別途、法律にて定めるものとする。
第六条【国語】
泰佑共和国の国語は、日本語とする。
第七条【領域】
泰佑共和国の領土は、鈴佑島、相妃島、晴陽島及び侈吾大陸の一部及びそれらの附属島嶼とする。なお、この詳細並びに領海及び領空は、外国と締結する条約及びそれに基づいて制定する法律において定めるものとする。
第八条【国民の要件】
泰佑共和国民たる要件は、別途、法律にて定めるものとする。但し、泰佑共和国が外国を併合するときは、相手国と批准する条約を以てこれを定めることが出来る。
第二章 国王
第九条【国王の地位】
国王は、泰佑共和国の元首であり、泰佑共和国の象徴且つ泰佑共和国民統合の象徴であって、この地位は、主権の行使を決する国民の総意に基づく。
第十条【王位の継承】
王位は、世襲のものであって、王室典範の定めるところにより、王統に属する男子が継承する。
第十一条【三権分立】
第一項 国王は、泰佑共和国の統治権を総攬し、これを各機関に分賜し、その奉還を受けなければならない。第二項 国王は、統治権のうち立法権を政事議会に、司法権を破毀院及び下級司法裁判所に、行政権を内閣に分賜する。
第三項 国王は、選院が解散されたとき、選院から立法権の奉還を受ける。なお、本憲法及び法律に基づいた所定の手続きを経て選院が再び開会されたときは、直ちにこれを分賜しなければならない。但し、このとき、卿院から立法権の奉還は、必要ない。
第四項 国王は、破毀院長が任期満了又は国民審査或いは身体の故障等で辞職することになったとき、破毀院から司法権の奉還を受ける。なお、本憲法及び法律に基づいた所定の手続きを経て新たに破毀院長が任命されたときは、直ちにこれを分賜しなければならない。但し、下級司法裁判所の長が辞職する場合或いは着任する場合においては、この必要はない。
第五項 国王は、内閣が総辞職するとき、内閣から行政権の奉還を受ける。なお、本憲法及び法律に基づいた所定の手続きを経て再び組閣されたときは、直ちにこれを分賜しなければならない。
第六項 第十条に基づいて王位の継承がなされたとき、新国王は、政事議会から立法権、破毀院及び下級司法裁判所から司法権、内閣から行政権の奉還を受け、その名によって、再びこれを各機関に分賜しなければならない。
第七項 本条規以外に統治権の分賜及び奉還を受ける規定は、本憲法及び法律又は王室典範でのみ定めることが出来る。
第十二条【奉還された統治権の行使の禁止】
国王は、各機関から奉還された統治権を本憲法に定める各機関の正当な上奏又は奏上によらず行使してはならない。
第十三条【任命行為】
国王は、次に掲げる任命行為を行う。一、 政事議会の上奏に基づき、内閣総理大臣を任命すること。
二、 内閣の上奏に基づき、国務大臣を任命すること。
三、 内閣の奏上に基づき、大侍官を任命すること。
四、 内閣の上奏に基づき、破毀院長及び朝憲院長を任命すること。
五、 政事議会の上奏に基づき、両議院の議長を任命すること。
六、 本条規以外に本憲法及び法律又は王室典範に定める任命行為をすること。
第十四条【国事行為】
国王は、内閣又はその他の機関からの上奏或いは奏上に基づき、次に掲げる国事行為を行う。一、 憲法改正、法律、条約及び政令を裁可し、公布すること。
二、 詔勅を渙発すること。
三、 政事議会を召集すること。
四、 選院を解散すること。
五、 卿院議員の選挙の施行を公示すること。
六、 選院議員の総選挙の施行を公示すること。
七、 国務大臣及び大侍官並びに法律の定めるその他官吏の任免また全権委任状及び大使並びに公使の信任状を裁可すること。
八、 法律の定める刑の執行を命ずること。
九、 恩赦を施すこと。
十、 栄典を授与すること。
十一、 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を裁可すること。
十二、 外国の大使及び公使を接受すること。
十三、 宣戦を布告し、その講和をすること。
十四、 儀式を行うこと。
十五、 本条規以外に本憲法及び法律又は王室典範に定める国事行為をすること。
第十五条【元号】
元号は、第十条に基づき王位の継承がなされたとき、新国王が枢密院の決議及びそれに対する元老院の承認に基づき、改める。
第十六条【国王無答責】
国王の任命行為及び国事行為のすべてには、本憲法の定める各機関の上奏又は奏上を必要とし、その責任は、上奏又は奏上をした各機関が負う。又、国王が内奏に対して述べた発言や、評議における発言においても責任を問われることはない。
第十七条【国王の権能】
第一項 国王は、上奏又は奏上に基づいて本憲法に定める任命行為及び国事行為を行う。第二項 国王が、内奏及び評議において親ら意見を述べることは、妨げられない。
第十八条【摂政】
第一項 国王が永続的な身体の故障等によって本憲法に定める任命行為及び国事行為を行うことが出来なくなったとき、国王は、その全部又は一部を摂政に委任することが出来る。第二項 国王が成年に達していないとき、国王は、成年に達するまで本憲法に定める任命行為及び国事行為の全部又は一部を摂政に委任しなければならない。
第三項 摂政は、王室典範に基づき、国王が王族から一名任命する。
第十九条【聖職臨時代行者・名代】
第一項 国王が一時的に本憲法に定める任命行為及び国事行為を行うことが出来なくなったとき、国王は、任命行為及び国事行為を臨時に代行する者に委任することが出来る。第二項 前項に定める者を聖職臨時代行者と言う。
第三項 聖職臨時代行者は、国王が任命する。なお、この任には、普通、摂政になるべき者が当たる。
第四項 国王は、必要に応じ、名代を立てることが出来る。又、名代は、国王が親らの意思によって任命することが出来る。
第二十条【摂政・聖職臨時代行者の任命行為・国事行為】
摂政及び聖職臨時代行者は、国王の名によって本憲法に定める任命行為及び国事行為を行う。但し、この任命行為及び国事行為は、すべて本憲法及び法律に基づいたものでなければならない。
第三章 国民の権利
第二十一条【基本的人権の享有】
何人も、すべての基本的人権を享有する。又、本憲法が国民に保障する基本的人権は、永久に侵すことの出来ない全人類が享受する権利である。
第二十二条【国民の責務】
本憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって保持されなければならない。又、国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には、責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公共の福祉を重んじて行動しなければならない。
第二十三条【個人の尊重・公共の福祉・尊厳死】
第一項 何人も、個人として完全に尊重される。又、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政上で、最大限に尊重されなければならない。第二項 前項の規定に基づき、国は、法律の定めるところにより、国民の死を幇助することが出来る。但し、この幇助は、絶対に本憲法及び法律に基づき、基本的人権を最大限に尊重したうえで行わなければならない。
第二十四条【法の下の平等・貴族】
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。但し、本憲法及び法律に定める貴族は、法の下の平等に著しく反しない範囲においてその存在が認められ、特権を得ることが出来る。
第二十五条【公務員の選定・罷免の権利】
公務員を選定し又は罷免することは、主権の行使を決する国民の権利である。これは、永久に覆すことの出来ない固有の権利である。
第二十六条【公務員の本質】
すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
第二十七条【普通選挙の保障】
公務員の選定を選挙によって行うときは、泰佑共和国籍を有する成年者の普通選挙によって行う。又、普通選挙は、保障する。
第二十八条【秘密投票の保障】
すべて選挙における投票の秘密は、侵されない。又、選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。
第二十九条【選挙権の剝奪・再取得】
第一項 国は、法律の定めるところにより、選挙人の選挙権を剝奪することが出来る。第二項 選挙権を剝奪された選挙人は、法律の定めるところにより、その権利を再び得ることが出来る。
第三項 選挙権の剝奪について定める法律は、絶対に選挙人の思想及び良心の自由を侵してはならない。
第三十条【請願権】
第一項 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律及び命令又は規則の制定、その廃止或いは改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有する。第二項 請願をした者は、そのために如何なる差別的待遇も受けない。
第三十一条【国・公共団体の賠償責任】
何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国及び地方自治体その他の公共団体にその賠償を求めることが出来る。
第三十二条【奴隷的拘束・苦役からの自由】
何人も、如何なる奴隷的拘束も受けない。又、何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第三十三条【思想・良心の自由】
思想及び良心の自由は、保障する。
第三十四条【個人情報の保護】
何人も、個人に関する情報を不当に取得し又は保有し、利用してはならない。
第三十五条【信教の自由】
第一項 信教の自由は、保障する。国は、如何なる宗教団体に対しても特権を与えてはならない。第二項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
第三項 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育及びその他の宗教的活動をしてはならない。但し、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
第四項 王室が行う祭儀については、第二項以外の条項は、適用されない。
第三十六条【集会・結社・表現の自由】
第一項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。第二項 集会の自由は、前項に基づき保障されるが、公共の福祉を著しく害することを目的とする又は害する虞があると認められるときは、国又は地方自治体は、集会の自由を制限することが出来る。
第三十七条【検閲の禁止・通信の秘密】
検閲は、してはならない。又、通信の秘密は、侵してはならない。
第三十八条【国政上の行為に関する説明の義務】
国は、国政上の行為について国民に説明する義務を負う。
第三十九条【居住・移転・職業選択の自由】
何人も、居住及び移転並びに職業選択の自由を有する。
第四十条【外国移住・国籍離脱の自由】
すべて国民は、外国に移住し又は国籍を離脱する自由を有する。
第四十一条【学問の自由】
学問の自由は、保障する。
第四十二条【家族生活における個人の尊厳・両性の平等】
第一項 異性同士の婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。第二項 同性同士の婚姻は、互いの合意に基づいて成立し、夫々又は婦々が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
第三項 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関して、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。
第四十三条【性愛・恋愛に関する多様性の考えに基づく差別の禁止】
第一項 何人も、性自認、性的指向等によるあらゆる差異を理由として、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。第二項 国は、前項の目的を達するため、不断の努力を以て必要な環境を整備しなければならない。
第四十四条【性的指向・性自認等の公表の自由】
何人も、性的指向、性自認等の公表について強制若しくは禁止されない。又、この公表は、決して本人の意に反してはならない。
第四十五条【性選択の権利】
すべて国民は、生物学的性差によらず、法律の定めるところにより、自認の性を選択する権利を有する。
第四十六条【生存権】
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第四十七条【国の社会的使命】
国は、国民生活のあらゆる側面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第四十八条【環境保全の責務】
国は、国民と協力して国民が良好な環境を享受することが出来るよう、その保全に努めなければならない。
第四十九条【在外国民の保護】
国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
第五十条【犯罪被害者等への配慮】
国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮し、その改善に努めなければならない。
第五十一条【教育を受ける権利】
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する。
第五十二条【教育における国の義務・義務教育の無償】
第一項 国は、不断の努力を以て教育環境の整備に努めなければならない。第二項 国公立の教育を施す所において行われる義務教育は、無償とする。
第五十三条【勤労の権利】
すべて国民は、勤労の権利を有する。
第五十四条【勤労条件の自由】
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、別途、法律にて定めるものとする。
第五十五条【児童酷使の禁止】
何人も、児童を酷使してはならない。
第五十六条【勤労者の団結権】
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
第五十七条【公務員の労働基本権の制限】
公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、第五十六条に規定する権利の全部又は一部を制限することが出来る。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。
第五十八条【財産権】
第一項 財産権は、保障する。第二項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するよう、別途、法律にて定めるものとする。この場合において知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
第三項 私有財産は、正当な補償の下、公共のために用いることが出来る。
第五十九条【法定の手続きの保障】
何人も、法律の定める適正な手段によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、その他の刑罰を科せられない。
第六十条【司法裁判を受ける権利】
何人も、司法裁判所において、司法裁判を受ける権利を有する。
第六十一条【逮捕の要件】
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、司法裁判官が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第六十二条【抑留・拘禁の要件】
何人も、正当な理由を直ちに告げられ、且つ直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留或いは拘禁されない。
第六十三条【不法拘禁に対する保障】
拘禁された者は、拘禁の理由を直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示すことを求める権利を有する。
第六十四条【住居の不可侵】
第一項 何人も、正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、住居その他の場所、書類及び所持品について、侵入、捜索又は押収を受けない。但し、第六十一条の規定により逮捕される場合は、この限りでない。第二項 前項に定める規定による捜索又は押収は、司法裁判官が発する各別の令状によって行う。
第六十五条【拷問・残虐な刑罰の禁止】
何人も、拷問及び残虐な刑罰をしてはならない。
第六十六条【刑事被告人の権利】
第一項 すべて刑事事件において、被告人は、公平な司法裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。被告人は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続きにより証人を求める権利を有する。第二項 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続きにより証人を求める権利を有する。
第三項 被告人は、如何なる場合にも資格を有する弁護人を依頼することが出来る。被告人が自らこれを依頼することが出来ないときは、国でこれを付す。
第六十七条【自己負罪拒否特権】
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
第六十八条【自白の証拠能力】
拷問、脅迫その他の強制による自白又は不当に長く抑留され若しくは拘禁された後の自白は、証拠とすることが出来ない。又、何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされない。
第六十九条【遡及処罰の禁止】
何人も、実行のときに違法ではなかった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。
第七十条【一事不再理】
何人も、同一の犯罪については、重ねて刑事上の責任を問われない。
第七十一条【刑事補償を求める権利】
何人も、抑留され又は拘禁された後、司法裁判の結果無罪となったときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることが出来る。
第四章 国民の義務
第七十二条【子女に普通教育を受けさせる義務】
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。
第七十三条【勤労の義務】
すべて国民は、勤労の義務を負う。
第七十四条【納税の義務】
すべて国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
第七十五条【環境の保全・改良の義務】
すべて国民は、自然環境を保全し、その改良に努める義務を負う。
第七十六条【選挙の義務】
すべて選挙人は、選挙に参加する義務を負う。
第七十七条【貴族の義務】
すべて貴族は、王室を擁護し、その繁栄に資する義務を負う。
第五章 栄典
第七十八条【栄典を享ける権利】
何人も、法律の定めるところにより、栄典を享ける権利を有する。
第七十九条【栄典の種類】
本憲法に定める栄典とは、国王が授ける爵位、勲章、位階及び聖誉賞のことである。
第八十条【栄典の効力】
第一項 栄典は、現にこれを有し又は将来これを享ける者に限り、その効力を有する。第二項 法律の定めるところにより、卿院の承認を得た者については、普通、その最年長の男子にのみ襲爵が認められる。
第八十一条【爵位】
爵位は、国家又は公共に対し並外れて優れた功労のある者に授けられる栄典である。爵位を有する者は、法律の定めるところにより、貴族となる。爵位に関する詳細は、別途、法律にて定めるものとする。
第八十二条【勲章】
勲章は、国家又は公共に対し特に功労のある者に授けられる栄典である。勲章に関する詳細は、別途、法律にて定めるものとする。
第八十三条【位階】
位階は、爵位を有する又は勲等に叙せられている若しくはその両方を享けている者が死亡したときに授けられる栄典である。位階に関する詳細は、別途、法律にて定めるものとする。
第八十四条【聖誉賞】
聖誉賞は、特に功労のある者に授けられる栄典である。聖誉賞に関する詳細は、別途、法律にて定めるものとする。
第八十五条【栄典の有無による差別の禁止】
何人も、本憲法及び法律に定める事項以外では、栄典の有無で経済的又は社会的関係において、差別されない。
第八十六条【栄典の自由】
本憲法に定める栄典についての規定は、あくまで国王の授ける栄典に限るものであり、国王以外が栄典を授けることを妨げるものではない。
第六章 政事議会
第八十七条【政事議会の地位・立法権】
政事議会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
第八十八条【両院制】
政事議会は、卿院及び選院の両議院で構成する。
第八十九条【両議院の組織】
第一項 卿院は、本憲法及び法律の定めるところにより、貴族議員及び識者議員で組織する。第二項 選院は、本憲法及び法律の定めるところにより、全国民を代表する公選議員で組織する。
第三項 両議院の定数は、別途、法律にて定めるものとする。
第九十条【卿院議員の資格】
第一項 卿院議員は、次に掲げる者で構成する。一、 正爵を有する成年者同士で互選された貴族議員。
二、 仁爵を有する成年者同士で互選された貴族議員。
三、 殿爵を有する成年者同士で互選された貴族議員。
四、 宇爵を有する成年者同士で互選された貴族議員。
五、 希爵を有する成年者同士で互選された貴族議員。
六、 法律の定めるところにより設置される共同和合学士院に属する者の互選により選出され、且つ勅任を受けた識者議員。
七、 特に勲労があると認められ、且つ勅任を受けた識者議員。
八、 特に学識が高いと認められ、且つ勅任を受けた識者議員。
第二項 前項の第七号及び第八号に定める識者議員は、内閣が指名し、枢密院及び元老院の承認を得た者でなければならない。
第三項 前項の承認は、出席枢密顧問官又は元老院議官の過半数の賛成を必要とする。
第九十一条【選院議員の資格】
選院議員は、国民による直接の選挙によって選出された公選議員で組織する。
第九十二条【選挙人の資格】
第一項 選挙人たる資格は、泰佑共和国籍を有する成年者とする。第二項 議員及び選挙人たる資格の詳細は、別途、法律にて定めるものとする。但し、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
第九十三条【卿院議員の任期】
卿院議員の任期は、八年とし、二年ごとにその四分の一を改選する。又、貴族議員は三期を超えて、識者議員は二期を超えて卿院議員の職に選出されてはならない。但し、選院議員となったとき又は爵位を剝奪されたときは、その期間満了前に終了する。
第九十四条【選院議員の任期】
選院議員の任期は、四年とする。但し、選院が解散されたときは、その期間満了前に終了する。
第九十五条【選挙に関する事項】
選挙区、投票方法、その他両議院の議員の選挙に関する事項は、別途、法律にて定めるものとする。この場合において各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない。
第九十六条【両議院議員兼職の禁止】
何人も、同時に両議院の議員となることは出来ない。
第九十七条【議員の歳費】
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第九十八条【議員の不逮捕特権】
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、政事議会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があるときは、会期中に限り、釈放しなければならない。
第九十九条【議員の免責特権】
第一項 両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。但し、議員が自らその演説、討論又は評決について刊行、放送その他の方法を以て一般に頒布したときは、法律上の責任を負う。第二項 両議院の議員が政事議会議員でない者を理由なく侮蔑する演説及び討論を行ったときは、前項の規定に拘わらず、法律上の責任を負う。
第百条【常会】
第一項 政事議会の常会は、毎年一回召集される。第二項 常会の会期は、別途、法律にて定めるものとする。
第百一条【臨時会】
内閣は、政事議会の臨時会の召集を決定することが出来る。又、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から起算して十日以内に臨時会が召集されなければならない。
第百二条【選院の解散・内閣総理大臣の解散権】
選院の解散は、内閣総理大臣が決定する。この場合、選院は、統治権のうち、立法権を国王に奉還しなければならない。
第百三条【選院議員の総選挙・特別会】
選院が解散されたときは、解散の日から起算して二十日以内に、選院議員の総選挙を行い、その日から起算して十五日以内に特別会が召集されなければならない。又、この特別会において選院は、国王から立法権の分賜を受けなければならない。
第百四条【卿院の緊急集会】
選院が解散されたとき、卿院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるとき、卿院の緊急集会を求めることが出来る。
第百五条【緊急集会の措置の効力】
第百四条に基づく緊急集会においてとられた措置は、臨時のものであって、次の政事議会の開会の日から起算して十日以内に選院の同意が得られなかったときは、その効力を失う。
第百六条【資格争訟の議決】
両議院は、おのおのその議員の資格に関して争いがあるときは、これについて審査し、議決する。但し、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第百七条【表決】
両議院の議事は、本憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第百八条【定足数】
卿院の議決は、総議員の五分の一以上の出席がなければすることが出来ない。又、選院の議決は、総議員の三分の一以上の出席がなければすることが出来ない。
第百九条【会議の公開】
両議院は、おのおのその会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるものを除き、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
第百十条【表決の記載】
出席議員の五分の一以上の要求があるときは、各議員の表決を会議録に記載しなければならない。
第百十一条【役員の選出】
両議院は、おのおのその議長及びその他の役員を選出する。
第百十二条【議院規則】
両議院は、おのおのその会議及びその他の手続き及び内部の規律に関する規則を定め並びに院内の秩序を乱した議員を懲罰することが出来る。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第百十三条【法律案の議決】
法律案は、選院で可決し、卿院の同意を得たときに法律となる。
第百十四条【選院の優越】
第一項 選院で可決し、卿院で同意を得られなかった法律案は、選院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。第二項 前項に定める規定は、法律の定めるところにより、選院が両院協議会を開くことを妨げない。
第百十五条【一事不再議】
選院で否決される又は卿院の同意を得られず選院での再採決において否決された法律案は、同会期中、再び提出することが出来ない。
第百十六条【予算審議】
予算案は、先に選院で審議し、後に卿院で審議されなければならない。
第百十七条【予算議決に関する選院の優越】
予算案について卿院で選院と異なった議決をした場合において、法律の定めるところにより両院協議会を開いても意見が一致しないとき又は卿院が選院の可決した予算案を受け取った後、政事議会休会中の期間を除いてその受け取った日から起算して三十日以内に議決しなかったときは、選院の議決を政事議会の議決とする。
第百十八条【条約の承認に関する下院の優越】
条約の批准に必要な政事議会の承認については、第百十七条の規定を準用する。
第百十九条【卿院の貴族議事決議】
卿院は、法律の定めるところにより、貴族に関する議事を決することが出来る。
第百二十条【卿院の同意】
本憲法及び法律で定める卿院の同意は、選院が係る議案を可決した日から起算して十日以内に行わなければならない。但し、卿院が十日以内に係る議案について議決しなかったときは、同意したと見做すことが出来る。
第百二十一条【両議院の国政調査】
両議院は、おのおの国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することが出来る。
第百二十二条【閣僚の議院出席の権利と義務】
内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、両議院に議席を有するか有しないかに拘わらず、いつでも議案について発言するため、議院に出席することが出来る。なお、答弁又は説明のために出席を求められたときは、拒否することが出来ない。但し、公務のために外国に滞在しているなど議院に出席することが絶対に不可能と認められる場合は、この限りでない。
第百二十三条【弾劾裁判所】
第一項 政事議会は、罷免の訴追を受けた憲法裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設置する。第二項 弾劾に関する事項は、別途、法律で定めるものとする。
第百二十四条【政党】
第一項 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。第二項 政党の政治活動の自由は、保障する。
第三項 前二項に定めるもののほか政党に関する事項は、別途、法律で定めるものとする。
第七章 内閣
第百二十五条【行政権】
行政権は、本憲法の特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。
第百二十六条【内閣の組織】
第一項 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣また国務大臣及び大侍官で構成する。第二項 内閣総理大臣、国務大臣及び大侍官は、文民でなければならない。
第百二十七条【政事議会に対する連帯責任】
内閣は、行政権の行使について政事議会に対し、連帯して責任を負う。
第百二十八条【内閣総理大臣の指名】
第一項 内閣総理大臣は、政事議会議員の中から政事議会が指名する。第二項 政事議会は、他のすべての案件に先立って、内閣総理大臣の指名を行わなければならない。
第百二十九条【国務大臣の任命・罷免の上奏】
第一項 内閣総理大臣は、国務大臣の任命を上奏する。この場合において、その過半数は、政事議会議員の中から任命しなければならない。第二項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣の罷免を上奏することが出来る。
第百三十条【大侍官の任命・罷免の奏上】
第一項 内閣総理大臣は、大侍官の任命を奏上する。第二項 内閣総理大臣は、任意に大侍官の罷免を奏上することが出来る。
第百三十一条【内閣の不信任と総辞職】
内閣は、選院が不信任の決議案を可決し又は信任の決議案を否決したときは、その日から起算して十日以内に選院が解散されない限り、総辞職しなければならない。この場合、内閣は統治権のうち、行政権を国王に奉還しなければならない。
第百三十二条【大侍官の独立】
大侍官は、内閣総辞職のときに辞職する必要はない。又、大侍官は、内閣の施政方針にも左右されず、独立してその職務を遂行することが出来る。
第百三十三条【内閣総理大臣の欠缺・新政事議会の召集と内閣の総辞職】
内閣総理大臣が欠けたとき又は選院議員の総選挙の後に初めて政事議会の召集があったとき、内閣は、総辞職しなければならない。
第百三十四条【内閣総理大臣の欠缺時等の国務大臣の職務】
内閣総理大臣が欠けたとき又はその他これに準ずる場合として法律で定めるときは、内閣総理大臣が予め指定した国務大臣が臨時にその職務を行う。
第百三十五条【総辞職後の内閣】
第百三十一条、第百三十三条及び第百三十四条の場合、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまでの間は、引き続きその職務を行う。
第百三十六条【内閣総理大臣の職務】
第一項 内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、その総合調整を行う。第二項 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を政事議会に提出し、一般国務及び外交関係について政事議会に報告する。
第三項 内閣総理大臣は、最高指揮官として国軍を指揮する。
第百三十七条【内閣の職務】
内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。一、 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二、 外交関係を処理すること。
三、 条約の批准を上奏すること。但し、事前に又はやむを得ない場合は事後に、政事議会の承認を得ることを必要とする。
四、 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務をつかさどること。
五、 予算案及び法律案を作成し、政事議会に提出すること。
六、 本憲法及び法律の規定に基づき、政令を制定し、公布すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し又は権利を制限する規定を設けることが出来ない。
七、 恩赦を決定し、上奏すること。
八、 宣戦の布告及びその講和を上奏すること。
九、 本条規以外に、本憲法及び法律の定める事務を行うこと。
第百三十八条【法律・政令の親署・副署】
法律には、親署及び内閣総理大臣の副署がなければならない。但し、副署がなくとも親署があれば、その法律は、有効と見做すことが出来る。又、政令には、内閣総理大臣の署名を要する。なお、必要に応じ内閣総理大臣は、国務大臣及び大侍官に対し、副署や署名の追加を申し入れることが出来る。
第百三十九条【国務大臣・大侍官の特典】
国務大臣及び大侍官は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ公訴を提起されない。但し、国務大臣又は大侍官でなくなった後に公訴を提起することは、妨げられない。
第八章 司法裁判所
第百四十条【司法権・司法裁判所】
すべて司法権は、破毀院及び法律の定めるところにより設置する下級司法裁判所に属する。
第百四十一条【特別裁判所の禁止】
特別裁判所は、設置することが出来ない。但し、本憲法に定める弾劾裁判所、王室典範に定める王室裁判所及び法律の定めるところにより、一定期間設ける軍法会議については、この限りでない。又、行政機関は、終審として裁判を行うことが出来ない。
第百四十二条【司法裁判官の独立】
すべて司法裁判官は、その良心に従いつつ独立してその職権を行い、本憲法及び法律にのみ拘束される。
第百四十三条【破毀院の規則制定権】
第一項 破毀院は、司法裁判に関する手続き、弁護士、司法裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。第二項 検察官、弁護士その他の司法裁判に関わる者は、破毀院の定める規則に従わなければならない。
第三項 破毀院は、下級司法裁判所に関する規則を定める権限を下級司法裁判所に委任することが出来る。
第百四十四条【司法裁判官の身分の保障】
司法裁判官は、裁判により心身の故障のために職務を遂行することが出来ないと決定された場合を除いては、憲法裁判所の弾劾によらなければ罷免されない。又、司法裁判官の懲戒処分は、行政機関が行うことが出来ない。
第百四十五条【破毀院の司法裁判官】
破毀院は、その長たる破毀院長及び法律の定める人数のその他の司法裁判官で構成し、破毀院長以外の司法裁判官は、内閣が指名し、国王が任命する。
第百四十六条【破毀院の司法裁判官の国民審査】
破毀院の司法裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民審査を受けなければならない。
第百四十七条【破毀院の司法裁判官の定年】
破毀院の司法裁判官は、法律の定める年齢に達したとき、退官する。
第百四十八条【破毀院の司法裁判官の報酬】
破毀院の司法裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額出来ない。
第百四十九条【下級司法裁判所の司法裁判官とその任期・報酬】
下級司法裁判所の司法裁判官は、破毀院の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その司法裁判官は、法律の定める任期に限って任命され、再任されることが出来る。但し、法律の定める年齢に達したときは、退官する。
第百五十条【下級司法裁判所の司法裁判官の報酬】
下級司法裁判所の司法裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額出来ない。
第百五十一条【司法裁判の公開】
第一項 司法裁判の口頭弁論及び公判手続き並びに判決は、公開の法廷で行う。第二項 司法裁判所が司法裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、口頭弁論及び公判手続きは、公開しないで行うことが出来る。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又は本憲法で保障する国民の権利が問題となっている事件の口頭弁論及び公判手続きは、常に公開しなければならない。
第九章 憲法裁判所
第百五十二条【違憲審査権と違憲立法審査権・朝憲院と下級憲法裁判所】
朝憲院及び法律の定めるところにより設置する下級憲法裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。
第百五十三条【司法裁判官の弾劾】
朝憲院及び下級憲法裁判所は、法律の定めるところにより、司法裁判官を弾劾する。
第百五十四条【憲法裁判官の独立】
すべて憲法裁判官は、その良心に従いつつ独立してその職権を行い、本憲法及び法律にのみ拘束される。
第百五十五条【朝憲院の規則制定権】
第一項 朝憲院は、憲法裁判に関する手続き、憲法裁判所の内部規律及び違憲審査権又は違憲立法審査権その他の事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。第二項 すべて憲法裁判に関わる者は、朝憲院の定める規則に従わなければならない。
第三項 朝憲院は、下級憲法裁判所に関する規則を定める権限を下級憲法裁判所に委任することが出来る。
第百五十六条【憲法裁判官の身分の保障】
憲法裁判官は、裁判により心身の故障のために職務を遂行することが出来ないと決定された場合を除いては、政事議会の設置する弾劾裁判所の弾劾によらなければ罷免されない。又、憲法裁判官の懲戒処分は、行政機関が行うことが出来ない。
第百五十七条【朝憲院の憲法裁判官】
朝憲院は、その長たる朝憲院長及び法律の定める人数のその他の憲法裁判官で構成し、朝憲院長官以外の憲法裁判官は、政事議会が指名し、国王が任命する。
第百五十八条【朝憲院の憲法裁判官の国民審査】
朝憲院の憲法裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民審査を受けなければならない。
第百五十九条【朝憲院の憲法裁判官の定年】
朝憲院の憲法裁判官は、法律の定める年齢に達したとき、退官する。
第百六十条【朝憲院の憲法裁判官の報酬】
朝憲院の憲法裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額出来ない。
第百六十一条【下級憲法裁判所の憲法裁判官とその任期・報酬】
下級憲法裁判所の憲法裁判官は、朝憲院の指名した者の名簿によって、政事議会が任命する。その憲法裁判官は、法律の定める任期に限って任命され、再任されることが出来る。但し、法律の定める年齢に達したときは、退官する。
第百六十二条【下級憲法裁判所の憲法裁判官の報酬】
下級憲法裁判所の憲法裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額出来ない。
第百六十三条【憲法裁判の公開】
第一項 憲法裁判の口頭弁論及び公判手続き並びに判決は、公開の法廷で行う。第二項 憲法裁判所が憲法裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、口頭弁論及び公判手続きは、公開しないで行うことが出来る。但し、政事議会が求めた口頭弁論及び公判手続きは、常に公開しなければならない。
第十章 財政
第百六十四条【財政の基本原則】
第一項 国の財政を処理する権限は、政事議会の議決に基づいて行使しなければならない。第二項 地方自治体の財政を処理する権限は、州議会又は基礎地方自治体の議会の議決に基づいて行使しなければならない。
第三項 財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。
第百六十五条【課税】
第一項 新たに租税を課し又は現行の租税を変更するには、法律の定めるところによらなければならない。第二項 州又は基礎地方自治体の住民に対して新たに租税を課し又は現行の租税を変更するときは、州法又は条例の定めるところによらなければならない。
第百六十六条【国費の支出・国の債務負担】
国費を支出し又は国が債務を負担するには、政事議会の議決に基づくことを必要とする。又、国が債務を負担するときは、監査院の検査を受けることを必要とする。
第百六十七条【州費の支出】
州費を支出するには、州議会の議決に基づくことを必要とする。
第百六十八条【予算】
第一項 内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、政事議会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。第二項 内閣は、毎会計年度中において、予算を補正するための予算案を提出することが出来る。
第三項 内閣は、当該会計年度開始前に第一項の議決を得られる見込みがないと認めるときは、暫定期間に係る予算案を提出しなければならない。
第四項 毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、政事議会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することが出来る。
第五項 州の予算は、本条規により、州議会が議決する。
第百六十九条【予備費】
第一項 予見し難い予算の不足に充てるため、政事議会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することが出来る。第二項 すべて予備費の支出について、内閣は、事後に政事議会の承諾を得なければならない。
第三項 州の予備費は、本条規により、州議会が議決する。
第百七十条【王室の費用】
すべて王室の維持及び運営に必要な費用は、予算案に計上し、政事議会の議決を経なければならない。
第百七十一条【公の財産の支出又は利用の制限】
第一項 公金その他の公の財産は、第三十五条第三項に規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織若しくは団体の使用、便益或いは維持のために支出し又はその利用に供してはならない。第二項 公金その他の公の財産は、国若しくは地方自治体その他の公共団体の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対して支出し又はその利用に供してはならない。
第百七十二条【決算検査】
第一項 内閣は、国の収入支出の決算について、すべて毎年、監査院の検査を受け、法律の定めるところにより、次の年度にその検査報告とともに政治議会に提出し、その承認を受けなければならない。第二項 内閣は、前項の検査報告の内容を予算案に反映させ、政事議会に対し、その結果について報告しなければならない。
第百七十三条【財政状況の報告】
第一項 内閣は、政事議会に対し、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。第二項 州は、州議会に対し、少なくとも毎年一回、州の財政状況について報告しなければならない。
第百七十四条【国債】
法律の定めるところにより国債を発行するときは、監査院による検査を必要とする。
第百七十五条【州債】
法律の定めるところにより州債を発行するときは、監査院による検査を必要とする。
第十一章 軍政
第百七十六条【国軍】
国軍は、陸軍、海軍、空軍及び法律に定める準軍事組織から成る。
第百七十七条【国軍の名称】
国軍は、泰佑共和国軍と称する。
第百七十八条【国軍の役割】
第一項 国軍は、国の平和、安全及び独立、国民の生命及び財産を守り、我が国の安全保障を担う。第二項 国軍は、条約又は国際協定及び法律に基づき、国際社会の平和を維持する活動に当たる。
第百七十九条【文民統制】
国軍は、文民により統制されなければならない。
第百八十条【最高指揮官】
内閣総理大臣たる者は、国軍の最高指揮官として国軍を指揮する。
第百八十一条【指揮権】
すべて国軍の指揮権は、内閣総理大臣に属する。
第百八十二条【武力の行使】
国軍が武力を行使するときは、事前に政事議会の承認を得なければならない。又、この承認には、両議院の出席議員の過半数の賛成を必要とする。
第百八十三条【侵略の禁止】
国軍は、国外の侵略を目的として武力を行使することが出来ない。但し、自衛を目的として武力を行使することは、妨げられない。
第百八十四条【国軍の経費】
すべて国軍の経費は、予算案に計上し、政事議会の議決を経なければならない。
第十二章 地方自治
第百八十五条【地方自治の本旨】
第一項 地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的且つ総合的に実施することを旨として行う。第二項 住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。
第百八十六条【地方自治の種類】
地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する州とすることを基本とし、その種類は、法律で定める。
第百八十七条【州・総督】
第一項 国は、次に掲げる州を設置する。一、 愚見州
二、 六要州
三、 鶤瑛州
四、 万要州
五、 巨要州
六、 四要州
七、 五要州
八、 鵅美州
九、 日奥州
十、 葉澄州
十一、 詩恵州
十二、 高南州
十三、 仁塋州
十四、 北要州
十五、 下具州
十六、 広緑州
十七、 大楽州
十八、 忍永州
十九、 相妃州
二十、 晴陽州
二十一、 起陰州
二十二、 陰貞州
二十三、 立岩州
二十四、 明娯州
二十五、 求髄州
第二項 国王は、法律の定めるところにより、州に、専ら儀礼的な行為を行う総督を任命する。
第百八十八条【地方自治の基本原則】
地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
第百八十九条【国・地方自治体の協力】
国及び地方自治体は、法律の定めるところによる役割分担を踏まえ、協力しなければならない。又、地方自治体は、相互に協力しなければならない。
第百九十条【地方自治体の議会・公務員の直接選挙】
第一項 州には、州法及びその他の重要な事項を議決する機関として、州議会を設置する。又、これを一院制とし、その設置は、法律の定めるところによる。第二項 基礎地方自治体には、条例及びその他重要な事項を議決する機関として、議会を設置する。又、これを一院制とし、その設置は、法律の定めるところによる。
第三項 地方自治体の長、議会の議員は、当該地方自治体の住民であって泰佑共和国籍を有する者が直接選挙する。但し、統治局が設置されているときは、地方自治体の長の選挙を中断することが出来る。
第百九十一条【地方自治体の権能】
地方自治体は、その財産を管理し、事務を処理し及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で州法又は条例を制定することが出来る。又、条例は、州法の範囲内で制定しなければならない。
第百九十二条【地方自治体の財政・国の財政措置】
第一項 地方自治体の経費は、州法又は条例の定めるところにより、課する地方税その他の自主的な財源を以て充てることを基本とする。第二項 国は、地方自治体において前項に定める自主的な財源だけでは地方自治体の行うべき役務の提供が出来ないときは、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない。
第百九十三条【地方自治特別法・統治局】
第一項 特定の地方自治体の組織、運営若しくは権能について他の地方自治体と異なる定めをする又は特定の地方自治体の住民にのみ義務を課し、権利を制限する特別法は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の投票において有効投票の過半数の同意を得なければ制定することが出来ない。但し、泰佑共和国が外国を併合し、新たな地方自治体を創設するときは、法律によらず、相手国と批准する条約を以てこれを定めることが出来る。第二項 法律の定めるところにより州に設置される統治局は、前項に定める特別法又は条約を以て設置する。
第十三章 監査院
第百九十四条【監査院】
監査院は、国の歳入及び歳出の決算、国家及び法律が定めた団体の会計検査並びに行政機関及び公務員の職務に関する監査を行う監査機関である。
第百九十五条【監査院の設置】
監査院は、法律の定めるところにより、内閣に設置する。
第百九十六条【監査院の権能】
監査院は、本憲法及び法律に定める事項について監査する。又、政事議会から監査の依頼があったときは、それに関しても個別に監査する。
第百九十七条【監査院誠長】
第一項 監査院の長たる監査院誠長は、監査誠官の互選により選出し、国王が任命する。第二項 監査院誠長の任期は、三年とする。又、何人も二回を超えて監査院誠長の職に選出されてはならない。
第百九十八条【監査院の組織】
監査院は、次に掲げる十三名の監査誠官で構成する。一、 卿院の指名する三名。
二、 選院の指名する六名。
三、 内閣の指名する二名。
四、 破毀院の指名する二名。
第百九十九条【監査誠官】
第一項 監査誠官は、政事議会の承認に基づき監査院誠長が指名し、内閣総理大臣が任命する。第二項 監査誠官の任期は、六年とする。又、何人も三回を超えて監査誠官の職に選出されてはならない。
第二百条【監査報告】
監査院は、会計年度ごとに国の歳入及び歳出の決算を検査し、政事議会にその結果を報告しなければならない。
第二百一条【監査院の詳細】
監査院の組織、職務範囲、監査誠官の資格及び監査対象公務員の範囲その他必要な事項は、別途、法律にて定めるものとする。
第十四章 枢密院
第二百二条【枢密院】
枢密院は、国王の最高諮問機関である。
第二百三条【枢密院の設置】
枢密院は、法律の定めるところにより、内閣に設置する。
第二百四条【枢密院の権能】
枢密院は、専ら国王の諮問にのみ答申し、本憲法及び法律に定める事項以外に関して国政に関与する権能を有さない。
第二百五条【枢密顧問官】
枢密院は、枢密顧問官で組織する。枢密顧問官は、法律の定めるところにより、国王が任命する。
第二百六条【枢密院議長】
枢密院の長たる枢密院議長は、法律の定めるところにより、国王が任命する。
第十五章 元老院
第二百七条【元老院】
元老院は、王室に関する重要な事項を審議する機関である。
第二百八条【元老院の設置】
元老院は、法律の定めるところにより、内閣に設置する。
第二百九条【元老院の権能】
元老院は、王室典範及び法律に定める王室に関する重大な事項についてのみ合議し、その他の国政に関与する権能を有さない。
第二百十条【王室典範の改正】
第一項 王室典範の改正は、元老院が行う。但し、王室典範の制定及び廃止は、政事議会の議決を経た法律によらなければならない。第二項 政事議会が元老院による王室典範の改正に異のあるときは、その改正を中止させることが出来る。
第二百十一条【元老院議長】
元老院の長たる元老院議長は、法律の定めるところにより、国王又は国王の任命した者が就く。
第二百十二条【元老院議官】
元老院は、元老院議官で組織する。元老院議官は、法律の定めるところにより、国王が任命する。
第十六章 丞相匡府
第二百十三条【国家緊急事態宣言】
第一項 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態において特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議に掛けて、国家緊急事態宣言を発することが出来る。第二項 国家緊急事態宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に政事議会の承認を得なければならない。
第三項 内閣総理大臣は、第二項の場合において不承認の議決があったとき、政事議会が国家緊急事態宣言を解除すべき旨を議決したとき又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて当該宣言を速やかに解除しなければならない。又、百日を超えて国家緊急事態宣言を継続しようとするときは、五十日を超えるごとに事前に政事議会の承認を得なければならない。
第四項 第二項及び第三項の政事議会の承認については、第百十七条の規定を準用する。この場合において同条規中三十日以内とあるものは、三日以内と読み替えるものとする。
第五項 政事議会の承認は、選院の承認を以て行う。但し、選院が解散されているときは、卿院の緊急集会を以て政事議会の承認とすることが出来る。
第六項 第五項に基づき卿院の緊急集会を以て政事議会の承認としたときは、新しく召集される選院によって再び承認を得なければならない。
第二百十四条【丞相匡府の設置】
第一項 国家緊急事態宣言が発せられたとき、内閣は、行政権を国王に奉還しなければならない。但し、内閣が総辞職する必要はない。第二項 前項に基づき行政権が奉還されたとき、国王は、丞相匡府を組織し、親政を施さなければならない。
第三項 国家緊急事態宣言が解除されたとき、国王は、行政権を内閣に分賜しなければならない。
第四項 前項に基づき行政権を分賜したとき、国王は、丞相匡府を解体し、親政を停止しなければならない。
第五項 丞相匡府は、国王の親政を輔佐する。
第二百十五条【丞相】
内閣総理大臣は、丞相匡府の長たる丞相となる。
第二百十六条【丞相補佐官】
第一項 丞相補佐官は、丞相を補佐する。第二項 丞相補佐官は、丞相が国務大臣より任命する。
第三項 丞相補佐官は、次に掲げる六名を設置する。
一、 太師
二、 太傅
三、 太保
四、 司馬
五、 司徒
六、 司空
第二百十七条【台槐朝議】
第一項 台槐朝議は、丞相匡府の最高機関である。第二項 台槐朝議は、丞相、丞相補佐官及び丞相の指名した者で構成する。
第三項 台槐朝議は、国王に勅令の渙発を上奏することを決する。
第四項 台槐朝議に関する事項は、別途、法律にて定めるものとする。
第二百十八条【国家緊急事態宣言の効果】
第一項 国家緊急事態宣言が発せられたとき、国王は、丞相匡府の上奏に基づき、法律と同一の効力を有する勅令を渙発することが出来る。第二項 丞相は、財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることが出来る。
第三項 勅令の渙発及びその廃止については、法律の定めるところにより、事後に政事議会の承認を得なければならない。この承認に関する規定は、第二百十三条に定める規定を準用する。
第四項 前項に定める承認を得られなかった勅令は、直ちに無効となる。
第五項 国家緊急事態宣言が発せられたときは、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。但し、この場合においても本憲法に定める基本的人権を侵してはならず、これを最大限に尊重しなければならない。
第六項 国家緊急事態宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、選院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることが出来る。なお、この特例は、勅令を以て設けなければならない。
第二百十九条【丞相匡府の詳細】
その他丞相匡府に関する詳細は、別途、法律で定めるものとする。
第十七章 条約及び国際協定
第二百二十条【条約の交渉と批准・公布】
第一項 条約及び協定は、内閣が相手国或いは組織と交渉する。第二項 国王は、条約の批准を裁可し、公布する。
第三項 内閣総理大臣は、批准に付されない国際協定の締結を目指す一切の交渉について、報告を受けなければならない。
第二百二十一条【条約の承認・発効】
第一項 講和条約、通商条約、国際組織に関する条約又は協定、国家の財政に負担を課す条約又は協定、法律の性質を持つ規定を修正する条約又は協定、人の身分に関する条約若又は協定、領土の割譲、交換若しくは併合を含む条約又は協定は、法律によってしか批准或いは承認することが出来ない。第二項 条約又は協定は、批准された後でなければ発効しない。
第三項 国の領土に関する如何なる割譲、交換及び併合は、関係住民の同意なしには、有効とならない。
第二百二十二条【庇護権】
第一項 泰佑共和国は、庇護並びに人権及び基本的自由の保護に関して、自国と同一の保障を誓約する国との間で、それらの国に提出される庇護申請の審査に関する相互の権限を定める協定を締結することが出来る。第二項 前項の規定に拘わらず、申請が協定上その権限に属さない場合であっても、泰佑共和国の諸機関は、自由のための行動を理由に迫害され或いはその他の理由で泰佑共和国による保護を懇請するあらゆる外国人に対し、庇護を与えることが出来る。
第二百二十三条【憲法に反する国際協約】
朝憲院が内閣総理大臣、選院議長又は全選院議員の五分の三以上の提訴に基づき国際協約が憲法に反する条項を含むと判断した場合は、当該国際協約を批准或いは承認する許可は、憲法を改正した後でなければ行うことが出来ない。
第二百二十四条【条約及び協定の優越】
本憲法に定めるところにより批准若しくは承認された条約或いは協定は、相手国による当該条約若しくは協定の適用を条件に、公布と同時に法律に優位する効力をもつ。
第二百二十五条【条約及び国際法規の遵守】
泰佑共和国が締結した条約及び確立された国際法規は、誠実に遵守することを必要とする。
第十八章 改正
第二百二十六条【憲法改正】
本憲法の改正は、選院議員の提案を以てその審議を開始し、それを十分に行った後に両議院においてそれぞれ総議員の三分の二以上の賛成を得ることによって発議される。なお、この承認には、法律の定めるところにより実施される国民投票において、有効投票の過半数の賛成を必要とする。
第二百二十七条【憲法改正案の審議・上奏】
第一項 憲法改正案が国民投票で承認を得たとき、枢密院は、その憲法改正案を直ちに審議しなければならない。又、枢密院は、憲法改正案が国民投票において承認を得たという結果を無下にしてはならず、これを最大に尊重して審議を進めなければならない。又、この審議は、それを開始した日から起算して二日以内に終了しなければならない。第二項 枢密院において憲法改正案が全枢密顧問官の過半数の賛成を得たとき、枢密院は、憲法改正を国王に上奏する。
第二百二十八条【憲法改正の公布】
憲法改正の上奏を受けた国王は、直ちにこれを裁可し、裁可した日から起算して三日以内にこれを公布しなければならない。
第二百二十九条【不適合法令の有効性】
憲法の改正により既存の法令が新しく公布される憲法に適合しなくなったとき、既存の法令は、新しく公布される憲法に適合するよう改正される又は新しく制定されるまで有効とする。但し、既存の法令を改正又は新しく制定することは、速やかに行わなければならない。又、既存の法令で新しく公布される憲法に適合するものは、当然有効とする。
第二百三十条【番号の振り直し】
既存の法令の章、節及び条文等の番号またそれらの番号による指示が新しく公布される憲法に適合しないとき、内閣は、それに適合するよう既存の法令の番号を政令で改めることが出来る。
第二百三十一条【法律及び詔勅による改正の禁止】
本憲法は、法律又は詔勅を以て改正することが出来ない。
第二百三十二条【改正の禁止期間】
本憲法は、摂政又は丞相匡府が設置されている間、改正することが出来ない。
第十九章 最高法規
第二百三十三条【最高法規】
本憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、典範、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
第二百三十四条【憲法の尊重及び擁護の義務】
第一項 すべて国民は、本憲法を尊重しなければならない。第二項 国王、王族、摂政、政事議会議員、国務大臣、大侍官及び裁判官その他すべての公務員は、本憲法を擁護する義務を負う。
附則(泰永五年五月一日)
一、 本憲法は、公布の日から起算して四箇月を経過した日から施行する。但し、附則は、公布の日より施行する。二、 本憲法を施行するために必要な法律の制定及び改廃その他本憲法を施行するために必要な準備行為は、本憲法の施行の日よりも前に行うことが出来る。
三、 本憲法に適合するよう、現在有効の法律は、政事議会の議決によらず、政令で改正することが出来る。但し、改正出来るのは、次に掲げる事項のみとする。
イ、 泰佑共和国憲法とあるものを泰佑共和国第二憲法又は憲法と改めること。
ロ、 泰佑共和国憲法に対応している条項番号を本憲法と対応するものに改めること。
ハ、 上院とあるものを卿院と改めること。
ニ、 下院とあるものを選院と改めること。
ホ、 政安院とあるものを両院協議会と改める又は削除すること。
ヘ、 国民最高裁判所とあるものを破毀院と改めること。
ト、 王室会議とあるものを元老院と改めること。
チ、 国政監査局とあるものを監査院と改めること。
リ、 府長とあるものを大侍官と改めること。
四、 本憲法施行のときに在職する府長、上院議員、下院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位が本憲法で認められている者は、法律で特別に定めた場合を除いては、本憲法施行のためにその地位を失わない。但し、本憲法によって後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失う。
五、 附則第四号に定める相応たる地位は、次のとおりとする。
イ、 府長に相応たる地位は、大侍官とする。
ロ、 上院議員に相応たる地位は、卿院議員とする。但し、第一期に限り、卿院議員となるか選院議員となるか選択することが出来る。
ハ、 下院議員に相応たる地位は、選院議員とする。但し、第一期に限り、貴族は、選院議員となるか卿院議員となるか選択することが出来る。
ニ、 裁判官に相応たる地位は、司法裁判官とする。但し、初回に限り、司法裁判官となるか憲法裁判官となるか選択することが出来る。
ホ、 元老院長に相応たる地位は、元老院議長とする。
ヘ、 その他公務員の相応たる地位は、必要のあったとき、別途、政令にて定めるものとする。
附則(泰永五年八月二十九日)
一、 本改正は、公布の日より施行する。二、 第九十三条に定める改選について第一回から第四回までは、特別に法律を定め、行う。